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On the way always

日々の記録と、思うこと徒然。自分のために綴ってます。

奥底で鳴る音はいつもYESと言ってる

昨日午後、医師側の指示で、松葉杖の練習をすることになった。

松葉杖は歩行器よりも難易度が高いのだけど、これが使えるようになれば日常生活に戻れる可能性が飛躍的に上がる。

 

でも、結果は散々。3mも歩けなかった。思わず声をあげてしまうほどの強烈な痛みを味わったのは久しぶりだった。

理学療法士さんたちはみんな、最初から無理だとわかっていたらしい。でも医師側の指示で仕方なく従ったのだと、リハビリルームから病室に戻ってきて、申し訳なさそうに言う。

「3mも歩けなかったという事実をもう一度医師側に伝えます。治療方針を変える必要がある。今すぐ歩けだなんて、やっぱり無理なんです。」

そうですか…でも、あなたの立場が辛くならない程度でお願いしますね。と伝えると、

「いや、時には下克上も必要ですから」

と、頼もしい。

 

 

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医師側のめちゃくちゃな指示に、なんだかなあと思いつつも、「もし松葉杖で歩けたらすぐにでも退院できるかもしれない」というほのかな期待が私の中にもあった。

なので、あまりの歩けなさにさすがに気持ちが萎んだ。でも、しばらくの間しょんぼりしていたらそれも次第に霧散して、あとは前向きな静かな心持ちが戻ってきた。

 

これは、まだ「動くな」ってことだ。身体が「NO」と言ってるんだから、よく聴いてあげよう。引き続き、この「動けないライフ」…じゃないや、「動かないライフ」を満喫したらいいんだな。

 

文章を書きまくったり、本を読み漁ったり、音楽を聴きまくったり、不謹慎かもしれないけど日々は案外充実している。

歩けないことで、やることの選択肢が極端に少ないというのも案外悪くない。良くも悪くも、迷わない。

 

これで痛みがなかったら最高なんだけど、と思いつつも、痛みがあるおかげでわかることもあったりする。

私が私の身体にこれまで、知らず知らずのうちにたくさん無理をさせてきてしまったということがよくわかった。

あとは、傷んだ箇所を守ろうとして全身の筋肉が反射的に固くなる機能が自分についてるってことを知ったり。

すごいな、わたしの身体中の細胞、ちゃんと私を守ろうとしてる。生きたがってるんだなって思った。

 

 

そして、有り余る時間のなかで散々アウトプット(文章を書きまくる)しているおかげかどうだか、最近、鏡で自分の顔を見ると随分すっきりしたなと感じる。

先日、久しぶりに会ったさとみさんは、随分瞳の色が澄んだね、外国人みたいだ、千秋さん外国に行くのかもね、と話していた。

うん。そうかもしれないね。なぜか、この入院中に、随分と身軽になったんだよ。と返した。

 

ひとりきりの時間と空間を、圧倒的に必要としているのが私という人間なんだということが、この入院の日々のなかでよくわかった気もしていて。

 

内側で鳴り続けるこの音を、誰に邪魔されることもなく言葉に変換していくための時間や、逆に一切の言葉をなくしてしまうような時間が、私を私に、やっと近づけてくれる。透明にしてくれる。

そんな感覚をいま、覚えている。ある意味、半強制的な瞑想に近いのかもしれない。ただじっとして、ただここにあるものを味わう日々。

 

入院中に得られたこの感覚。日常生活に戻ってもきっと忘れないんじゃないかなと思う。

 

 

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今朝、悲しい事実を知らされる。

私の担当だった理学療法士さんが、私の担当を外されたのだという。入院病棟の別の階に異動になったという。

病院側は、治療方針などとは全く関係ないところで、いろんな理由をつけて異動の理由を説明していた。私は最後まで聞いて、今は病院に対して不信感しかないですと、気づいたら言っていた。

そうですよね、と言いながらも、強めの痛み止めを打って、松葉杖の練習を再開しますと言う。わかりましたと伝える。

そうするしかないと思った。松葉杖でも痛み止めでもなんでも使って、早く退院できるのなら退院しようと思った。(歩行器や車椅子は、私の生活には持ち込むことができないので移動手段として現実的じゃない。)

移動さえできれば、仙骨専門の病院や整骨院に行くことだってできる。担当だった理学療法士さんには、退院したらお礼の手紙を書こう。

 

午後になり、リハビリの時間がきて、松葉杖を再び握った。でも、これまた結果は散々だった。強めの痛み止めを使ってもなお、私が歩けたのはたったの3m、昨日と変わらなかった。

歩みを進めようとするたびに、腰から太ももにかけての筋肉が一気につる。つった筋肉を緩めようと意識したり、深く息を吐いたりするも、何度でもビキンとつるので、次第に激痛の積み重ねで息が上がってしまい、結局ドクターストップ。

 

でも、今回はそれほど落ち込まなかった。病院側に、悔しくも、どうだこれが私の実力だと見せつけることにはなった。担当の療法士さんを異動させたのは間違いだったってわかった?って。

明日からの方針についてはまた再検討しますと伝えられて、今日のリハビリは終了。

 

こんなにまた筋肉がつるようになってしまって、セラピストのSさんにせっかく緩めてもらったのに、なんだか悪循環のような気がしてしまった。

 

でも。そんなこといいつつ、なぜか深刻になりかけてくると、どこかむずむずしてくる。全然深刻になりきれない私がいる。

どこかで、この状況を傍観しているというか。

さあ明日は何が来るんだろう?また松葉杖?歩行器か?無理矢理退院強行する?また増薬って言われたら今度は私はなんて言うんだろう?

 

ポジティブなのか、すっかりトラブル慣れしてしまっただけなのか、ただ趣味が悪いだけなのか、なんだかもうよくわからなくなってきたけど、私の一番奥底で鳴る音はいつも「YES」と言ってるんだと思う。明日も自分の身体と心と毎瞬間向きあいながら、なんだかんだ生きていくんだろうと思う。おやすみ世界。