2歳になりました。
2017年1月31日、喫茶ラムピリカ、2回目のお誕生日。
たくさんの人が喫茶店を訪れてくれた。
イベントを終えて数日経ち落ち着いてきたので、今思うことを文章に起こしてみようと思う。
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随分前に、Facebookで2周年記念イベントのページを作ったものの、「2周年」ということにあまりピンときていなくて、ぼんやりとしたまま前日まで過ごしていた。
イベントの前日、近所に住むちえこさんが、素敵なお花屋さんが鵠沼海岸にあるから一緒に行こうと誘ってくれた。
ついて行くとそこには、ジブリの世界から抜け出してきたような外観のお花屋さん「草原舎」
中に入ると、今度は美術館のように完成された空間。
お花を魅せつつも、「花達と家が共存している」という表現を使いたくなるような、美しい空間が表現されていた。
「ずっとずっとここにいたい。」
そんなふうに思う花屋は初めてだった。
ここにはこの場を作った人の想いが、確かにある。
そう思った時、ラムピリカのことを思い出して、少し胸が熱くなった。
千絵子さんは、そんな素敵な花屋さんの中で、「2周年の記念に好きな花をプレゼントさせてほしい」と話してくれた。お祝いだからと。
その時にわたしは、やっと思い出した。
もうラムピリカは、私1人の喫茶店じゃないんだってこと。
たくさんの人に支えてもらって、愛してもらって、いまも存在できてるんだってこと。
そう思ったら、
「わあなんかこれは…!イベントちゃんとやりたい!みんなに超絶ありがとうって伝えたい…!表現したい…!!!」
そんな熱が急激に湧き上がってきた。
千絵子さん、私の中の火に気づかせてくれて、ありがとう。
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どうしたらこの気持ちを表現できるかな。
考えた時、
「完全無料開放だ!」
と思った。
私が好きな料理にデザートに、並べられるだけテーブルに並べて、くる人みんなに好きなだけ楽しんでもらおう。
ラムピリカの空間も、「開店」じゃない、「開放」をして、とことん寛いでもらおう…!
「ドネーションボックスを置こうかな、、、 」
一瞬悩むも、いやそれは違うな。損とか得とか、もう無いよ。今回はもう、手放しで「ありがとう」って表現し切ろう。
そう決めた後には、もう清々しさしかなかった。よっしゃいってこい!
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と言いつつ、作りたいものを、作りたいときに作りたいだけね、とのんびり料理していた私が用意できたものはそれほど多くはなくて。
でもありがたいことに、その3倍位の差し入れをいただいた。おかげで、かなり豪華なバイキングになった。
ちえこさんは開店前から準備を手伝ってくれて、手作りの人参ジャムを持ってきてくれた。スコーンに添えて食べたら、ちえこさんらしい優しい味がして、しみた。
ラムピリカ見習いエリカちゃんは、前日から宿泊。ネットでレシピを見つけた、素晴らしく可愛くて美味しい薔薇のアップルパイを、最初から最後までたった一人きりで全部、見事に焼き上げてくれた。
隣人ぺこさんは、マーマレードを使った豚肉と大根の煮込み料理、それに、そこらの高級ショコラじゃ太刀打ちできないほどの美味しさを誇る、ぺこさんお手製のオランジュショコラをテーブルに並べてくれた。ぺこさんの手料理はほんとうに、毎度食べるたび思うのだけど、ぺこさんにしか出せない味わいがある。丁寧さが、こめられた愛が伝わってくる、と言うかな。食べると、なんとも言えない潤いが内側から湧いてくる。
母は、「引っ越しですか?」と聞きたくなる量の荷物をラムピリカの厨房に持ち込んで、おでんに唐揚げに巻き寿司に焼きたてクッキーに…数えきれない量の料理を提供し続けてくれた。
他にもたくさんの差し入れがあったのだけど、書ききれなくてごめんなさい。
どれも、本当に本当に美味しくて、その場にいる人たちの笑顔を、次々量産していた。
集った人たちで色んな話をしながら、笑いながら、料理を口に運びながら、穏やかな時間はゆったりと流れていった。
開放した場にみんなが集まって、そしてみんなの気持ちが集まって、半自動的に素晴らしく豊かな食卓になってしまった。(全体の写真撮り忘れた😭)なんかすごいな、奇跡みたいだな…!と思った。
あともう一つびっくりしたのは、ドネーションボックスは置かなかったのに、イベント終了後に千円札が何枚も、珈琲台や色んなところに置かれていたのを発見したこと。だだ、誰ですかー!と叫んだ。
ありがとうを伝えたくて、気持ちを放出したくて開いたイベントなのに、みんなが持ち寄ってくれた気持ちで、結果的には自分の中のありがとうが100倍増しに膨れ上がってしまった。
また放出してかなきゃだな…。笑
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訪れる人たちに、次々お花をいただいた。
喫茶店がたくさんの色のお花で溢れかえった。
徹くんがすべてを花瓶に活けてくれた。
その活け方がなんとも徹くんらしくて、上品かつワイルド。美しく「生きて」活けられていて、とてもいいなと思った。こういうのって、ほんとに、「人」が出るなあと思った。
新潟からはとんだサプライズがあった。
憧れのイロハニ堂のサカノさんが、はるばる来店してくれたのだ。
嬉しさと驚きが極まりすぎたのか、玄関から入ってきた人がサカノさんだと認識した瞬間には全身に鳥肌が立った。
サカノさんがプレゼントしてくれた、新潟は上越産のはちみつがとてもとても美味しかった。花の香り、それも、いく種類もの花の甘い香りが鼻腔を通る。一口目は確かに存在感がある甘みなのに、すっきりと後味を残さず消えていく。これをセレクトするサカノさんの感性。イロハニ堂の食べ物飲み物のすべてが、あれほど素朴なのに膨らみがあって、上品で、美味しかった理由がわかったような気がして。うんうん、うんうんと何度も頷きながら味わった。こういう手土産ひとつにも、「人」が出るな…。
「藤沢界隈が実は苦手なんです」とよく話している圭吾さんは、この日も当初、「滞在時間は多分30分…」と予告していたにもかかわらず、人の流れや空気の流れが多分心地よかったのか(?)こどもたちと遊んだり、ギターを弾いたり、本を読んだり人と話したりしながら、5〜6時間は滞在していた。圭吾さんが大好きな私は、単純に嬉しかった。
圭吾さんが喫茶店の端で座って、リラックスして、特に何か喋るでもなくみんなを見守って(?)くれているとき、私は何故か、いつも以上に不思議な安心感を感じる。
(逆も然りで、圭吾さんが怖い顔してるとその場の空気が凍りつきすぎて、「なんこれ!笑」と、笑ってしまったこともある。)
なんだろね、毎度のことながら、不思議な存在感だなと思う。
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開店から一年も経たない頃、ラムピリカの運営に最高に行き詰まってたときに、初めて喫茶店に彼を呼んで、たくさんたくさん話をした。
とりとめもない話だったかもしれない。でもそこには、常識やしがらみにとらわれない風通しのよさ、軽やかさ、そして新しい未来への希望が詰まっていた。
固まって止まってしまっていた喫茶店が、急激に息を吹きかえして、また動き始めたのはその頃からだと感じている。
そしてどんどん軽やかに、どんどん自由に、そしてどんどん説明のつかない喫茶店になっていった。
喫茶店のことのみならず、私の今の人生そのものが説明がつかない、要するに不安定だからか、途轍もない不安や恐怖に襲われて、いてもたってもいられなくなるときもある。(正直にいうと、よくある。笑)
喜怒哀楽の極、というか、振れ幅の多い日々だ。でも色濃い日々だ。多分私は、子どもの頃みたいな毎日を、いま生きてるんだと思う。
不安定さをもっともっと楽しめるようになっていけたらいいな。
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最近喫茶店に集ってくれる人たちは、各々が内に持っている、生きることに対する「前提」のようなものが、多分近いんだろなと感じる人たちが多い。
振れ幅の多い日々を過ごす中で、これほど心強くてありがたいことってないなと感じる。
人が集うあいだは、この喫茶店は必要とされてるってことで、在り続けるのだろうと思うし、集わなくなったら、そのときは潔く消えていくときなんだと思う。
これからも、結果に執着しないで都度好きなことを、好きなときに、好きなようにやっていけたらいいな。
人と表現とが風通しよく行き交う喫茶店であり続けられたらな。
どこへ向かうのかよくわからないこの喫茶店を、わたしはこれからも見守り続けていけたらいいな。
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わー、いつのまにか長くなってしまった!
シンプルに話したいのに、いつも言葉が過ぎてしまいます!笑
ここまで読んでくれた方、ありがとうございます!これからも、よかったらラムピリカと一緒に遊びましょう⭐︎
おわり!