On the way always

日々の記録と、思うこと徒然。自分のために綴ってます。

リリースしていくこと。

「千秋さん、明日も開店しますか?

   明日も開店してほしいです。

   今日一日、すごく楽しかったから。」

 

1月8日、開店日。

えりかちゃんが厨房の入り口で、わたしにそう言った。閉店30分前くらいのことだった。

 

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遡ること数日前。

 

「ラムピリカの見習いというか、珈琲の修行というか、やってみたいです。学校に行かない日も結構あるし、開店日にはここで開店を手伝いたい。」

えりかちゃんがそう話してくれた。

 

わたしは答えた。

「もちろんいいよ!ただ、ほんとにいつ開店するかわからないところがあるから、前日とか当日に突然声をかけることになるかもしれないけど、それでも大丈夫?」

 

「全然大丈夫!」

 

そんな会話から始まり、ラムピリカは開店以来初めて、見習いさんを迎え入れることとなった。

 

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えりかちゃんは本当に優秀な見習いさんだと感じる。

 

わたしの話を真剣に聞いてくれているんだと思う。説明したことは一度で覚えるし、ちゃんと自分で考えながらも動いているなと思うし、お客さんに対しても、とても丁寧に接しているのがわかる。

 

私も、ラムピリカ史上初めて、お手伝いではない、「見習いさん」を受け入れるものだから、背筋がしゃんと伸びる思いだった。

 

自分が珈琲を入れるときに大切にしていること。

お客さんに接するときに大切にしていること。

道具の扱いで気をつけていること。

などなど。

 

初めてちゃんと言語化してひとに伝えた気がする。

 

 

極力まっすぐに伝わるよう、私にしては珍しく(?)とても丁寧に、ゆっくりと言葉を使ったつもりだ。

そしてそんなふうに言葉を使うことは、全く疲弊しないというか、むしろ自分に対してもえりかちゃんに対しても、とても丁寧に向き合っている感があってよかった。ひとに向けて言葉を発しながら、自分が大切にしてきたことを自分の中でも再確認できた。

 

こんな機会をくれたえりかちゃんに感謝したいくらいだった。

 

そんな私たちのやりとりを見ていて、私の娘たちも接客やドリップを手伝いたがった。

ふむこれは、子ども達同士でも刺激しあっているのかいないのか、とにかくいいね、とも思った。

 

 

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「手が空いているときは好きなタイミングでドリップの練習をしていいからね」と伝えておいた。その後、自ら進んで練習をしているえりかちゃんの姿があった。

 

えりかちゃんの手元を見ていると、とても丁寧で、動作が繊細で、筋がいいんだろうなと感じた。

淹れた珈琲をひとくちいただくと、彼女の瑞々しさが表れているかのような、ほんわりと甘酸っぱさのあるとても美味しい珈琲だった。

 

このままどんどん、自分の好きなように淹れて、自分の一番好きな珈琲を探していくといいよ。

 

そう伝えると、えりかちゃんは笑顔で頷いた。

 

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閉店の約一時間前、えりかちゃんのお母さんが来店された。

その時えりかちゃんは、練習用ではない、お客さん向けの「本番珈琲」、バリスタとして初めての一杯を淹れた。

えりかちゃんの最初のお客さんが彼女のお母さんとなったことに、わたしは静かな感動を覚えた。

 

この珈琲と合わせてオーダーがあったパンケーキも、初めてえりかちゃん自身の手で焼いてもらった。

 

彼女が作った珈琲に、パンケーキに、

「美味しい!」

と感激するお母さん。

「あなたこんなこともできるのね!」

嬉しそうな顔で話す。

 

私は、

「なんか、すごくすごくいいな…!」

 

と、珈琲台の向こう側でひとり嬉しくなっていた。なんだかすごくいいものを見せてもらっている気がした。

 

ーーー

 

最初は喫茶店も、珈琲も、すべて自分のためだった。自分のために作った。一人きりで作り始めた。(子育てとやりたいことを両立させたかったので、子ども達のためという意味も強かったけど、とどのつまり自分のためだったんだと思う。)

 

だけど最近、自分が愛しているものを、私が好きなように作らせてもらったものを、一緒に愛してくれるひとが増えたことに強い喜びを感じている。

 

そして自分が作ったものをたくさんの人たちにシェアしていくことに、喜びと同時にある種の使命感とも言えるような感覚を覚えている。

 

そしてそのシェアは、できることなら「対価交換」という形を取りたくないなという感がある。交換するのではなく、「リリースしたい」という感覚の方が強い気がする。

(12月から飲食代をドネーションにした理由、色々ある気がするけど、この感覚が大きな理由のひとつという気がする。)

 

わたしは、これまでひとからたくさんたくさん与えてもらって、生きてきたと思う。

与えてきてもらったものや、培ってきた大好きなものたちを、今は手放しで放出してみたい。

 

手放しで放出したら、そのうち手元は空っぽになるかもしれない。ならないかもしれない。わからない。

でも、もしもほんとうに「なにもない」というときが訪れたら、そのときに考えればいいのかなと思う。

 

 多分、何かこの先問題が起きても、もう一人で全てを背負って、一人で全てを解決しようとするなんて傲慢なことは、今後することはないのだろうと思う。

 

もっと人と人とが気楽に力を抜いて手を取り合って生きていけたら。

 

漠然とだけど、そんな願いがある。

 

そうでもしないと、大袈裟な言い方かもしれないけど、人間はなんだか生きていくのがこの先どんどん難しくなっていくような気さえしてしまう。

 

 

人生はなんでも、大なり小なり実験の繰り返しですね。ビビりながらでもなんでも、望む未来があるのなら、わたしはわたしの手を最初に開いてみようと思う。

 

 

ーーー

 

「ラムピリカを開店してほしい。開店したい。」

 

そう話してくれたえりかちゃん。

こんなに嬉しいことあるかなって思う。

ほんとうに、ありがとう。

 

 

私が培ってきたものをえりかちゃんに、私の娘たちに、ラムピリカという場所でいま少しずつ受け渡せていることがとても嬉しい。

 

ラムピリカで一日店長さんをやりたいという声も、いま何人かの方にかけてもらってる。

 

そして最近、こんな嬉しい記事を書いてくれる人も現れた。

http://enjoywork.blue/江ノ島古民家カフェ】幻カフェ喫茶ラムピリカ/

江ノ島古民家カフェ】幻カフェ喫茶ラムピリカ/

 

 

この記者さんとはまだ全然話したことがないのに、ラムピリカにわくわくして、ラムピリカの在り方を一緒に面白がってくれてる。

そう感じられて、すごくすごく嬉しかった。

 

 

私がへっぽこ精神&体力無しなので、休みがちょこちょこ必要にはなるけれど、それでもラムピリカはこれからどんどん開店日が増えるんだろうと思ってる。

だって今となっては、開店する理由がありすぎる気がするよ。笑

 

ほんとうに、神様。ありがとう。

(信仰はないのに、天に向かってありがとうと言いたくなるのは何故なんだろう。) 

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